みなさん、こんにちは!相原忠洋リジュビネーションサロン鎌倉、相原です。
肩こりは腰痛と肩を並べるほど(肩だけに、笑)よく聞くお悩みの一つですね。しかし、肩こりの原因というのもいろいろありまして、こういったことを正しく理解できていると、何かと役に立つものです。
今回は、そういった観点から肩こりを深堀りしてみます。
「肩こり」ってどういうこと?
日本整形外科学会ホームページによると、肩こりの症状とは「首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張った、凝った、痛いなどの感じがし、頭痛や吐き気を伴うことがある」としており、その原因は「首や背中が緊張するような姿勢での作業、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、運動不足、精神的なストレス、なで肩、連続して長時間同じ姿勢をとること、ショルダーバッグ、冷房など」としています。これからの説明から、肩の筋肉が持続的に緊張して血行不良に陥り、その結果として生じる症状である、と捉えていると推察できます。理学療法士の立場から云いますと、肩こりに限らずこうした運動器系の病態は、どこが痛いのか、何で痛いのか、を診るだけでなく、どうしてそうなってしまうのかを把握する必要があると思います。そうしないと、いつまでたってもそれを克服することはできませんよね、と考えます。
何故、肩の筋肉が持続的に緊張するのか
肩の筋肉の持続的な緊張というのを具体的に云いますと、頭をまっすぐ維持するために筋肉がいつも働いている、ということです。ベンチに座っている姿勢を想像してみてください。全身の力を抜いて座ると、骨盤は後に倒れ、背骨は背中が丸くみえるように弯曲します。私たちはこの姿勢の原因は、主に腹部周囲の筋活動が低調で腹圧の維持機能が低下している、と捉えます。でもそうなったからと云って、うなだれるように顔を下向きにしておくわけには行かないので、頭だけは起こして顔が前に向くようにします。頭の重さは体重の約10%、前方に傾いた姿勢であればその4,5倍の重量が頚・肩にかかることになります。
この時、上記の「首すじ、首のつけ根から、肩または背中」の筋肉が、頭を持ち上げるように持続的に働きます。頭を持ち上げ続けることを強いられます。主に僧帽筋、肩甲挙筋、頭板状筋、頚板状筋、などが該当します。本来、筋肉は収縮してじっとし続けているのは苦手です。収縮するとその中を通っている血管が締め付けられて循環が滞るからです。すると、簡単にいいますと筋肉に栄養が行かなくなったり、老廃物を運び出すことができなくなってしまい、その結果として、張った感じ、凝った感じ、痛みが生じるのです。
従って、持続的に緊張する理由は、他の部位、すなわち腹部・体幹の筋活動が低調になっている姿勢の結果、頚部や肩周囲の筋肉が重い頭を持ち上げ続けるために、持続的に働かざるを得ないから、と云えます。これに対処しないと、肩こりはなかなか改善しないと考えて良いと思います。
肩が凝っていると「感じさせる」原因も⁈
実は、自分は「肩が凝っている」と感じる原因は他にもあります。
なで肩といわれる方は、見た目に反して肩こり症状を感じている方が多いです。一見、肩周囲の筋肉が緊張しているように見えません。この場合は、肩甲帯(けんこうたい:腕と肩甲骨の総称)の重量に筋肉が負けて、重力方向へ引っ張られている状態です。筋肉がいつも引っ張られるので、張った感じがします。これは僧帽筋や肩甲挙筋などの筋力低下が生じている状態です。これですと、同時に肩甲骨の間の筋肉も同様に筋力低下を示しています。こういう場合には、ストレッチといって伸ばしたとしても、改善は難しいでしょう。
頚椎の関節の影響により、肩が凝った感じがすることがあります。これは、頚椎関連痛と呼んだりしています。肩の部分は頚椎の3/4番目と4/5番目の関節と関係があります。そこの関節の様子がおかしいと、関連領域である肩の部分に痛みが生じます。肩関節自体に目立った問題がないのに肩が痛む場合には、こうした頚椎の関節に不具合を見つけることが多いです。これらはレントゲン写真などの画像検査では見つけることが出来ないので、徒手的に運動検査をする必要があります。
心臓や肝臓の不具合があった場合にも、特に左肩に違和感や痛みを訴えるケースもあります。以前、肩が痛いということで担当した患者さんは、肩関節機能は大丈夫だったんですが、様子がおかしかったので主治医に返しましたら、肝臓がんが見つかった、という例がありました。肩こりといっても、侮れません。
上記の例はちょっと特殊ですが、一般的な肩こりの原因は、姿勢です。ですが姿勢は原因ではなく結果、筋肉の活動状況の総体、もっと云いますと、その人の身体の使われ方の反映です。ですから、痛いところをさすったり揉んだりといった、短絡的な考え方による対応は、状況を遷延、または悪化させます。
身体の声を丁寧に聴いて、適切に対処することで、身体のサステナビリティが確保できると思います。
あなたの身体の声をお聴かせください。相原忠洋リジュビネーションサロン鎌倉で、お待ちしております。