【”頚性頭痛”を知っていますか?】
慢性頭痛で悩む日本人はおよそ4,000万人、その多くが片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛といった機能性頭痛と呼ばれるものです。
これらを国際頭痛学会の診断基準に沿って診断すると、そのうちの15%~20%は頚性頭痛が含まれるとされています。また、今年の3月に『Cephlalgia』誌に掲載されたシステマティックレビュー※では、頚性頭痛国際研究グループの基準で診断すると、その割合が最大42.9%にも達することが指摘されています。どちらも海外の論文ですが、日本においてもこういう状況が多いものと推察できます。
頚性頭痛は、頚から頭部、場合に寄り顔面にかけても痛みが発生します。一般的に、痛みの真の原因は首や上部頸椎の軟部組織に由来することが多く、耳の後ろ、目の後ろ、こめかみなどに関連痛として現れます。
頚性頭痛の発生機序をご説明しますと、頚椎、特に上から3番目くらいまでの関節の不具合があると、その侵害信号が脊髄にある関節の感覚神経に伝えらえます。そこには頭部や顔面の感覚を司る「三叉神経」の頚髄路核が関節感覚神経の隣にあるため、伝えられた侵害信号が三叉神経に「乗り移り」、当該領域である頭部などに痛みを放散する、というものです。
学術的に正確な診断を得るためには、頚椎の椎間関節に神経ブロック(麻酔薬の注射)を行う必要がありますが、普通の診察室ではそこまで行うことは非常に稀であるため、片側の頭痛があると「片頭痛」と捉えたり、「緊張型頭痛」と診断され、投薬が行われます。
世界的に見ると、こういった症状は、頭痛治療のトレーニングを受けた理学療法士が検査をし、頚性頭痛であるか、他の原因による頭痛であるかの判断をします。頚性頭痛であれば、頚椎への徒手療法や運動療法とともに、セルフエクササイズ指導を加えて、適切にコンディショニングされます。
しかし日本では頚性頭痛を見逃されることが多く、たとえ正確な診断がついたとしても、それを治療できる理学療法士が病院にいる確率は極めて少ないため、効果が限定的な投薬治療を継続していることあるのではないでしょうか。
当サロンでは、世界水準のドイツ徒手医学インストラクターであり、頚性頭痛・めまい感の理学療法について学会発表や論文を発表している理学療法士が、あなたの頭痛を適切に観察いたします。また必要があれば、専門医への受診もお勧めします。
あなたの頭痛は、このような知識や技術、実績や経験のある、信頼できる方が診てくれているでしょうか?
巷にはいろいろな方法がありますが、医業類似行為提供者による施術の利用は危険を伴う例も指摘※※されていますので、皆さんには適切な方法を選択していただきたいと思います。
慢性頭痛など思い当たる方は、相原忠洋リジュビネーションサロン鎌倉へ、遠慮なくご相談ください。
<参考文献>
※ Robinson, C. L., Jull, G. A., & Sterling, M. (2025). Prevalence and relative frequency of cervicogenic headache in population- and clinic-based studies: A systematic review and meta-analysis. Cephlalgia, 45(3). https://doi.org/10.1177/03331024251322446
※※宮崎寛 他:医業類似行為に係わる健康被害実態調査の結果,日本臨床整形外科学会誌,2024年49巻1号,153-154