こんにちは、相原忠洋リジュビネーションサロン鎌倉、相原です。
今回は、腰痛について考えてみます。この100年以上、腰痛を真面に治療できた人はいません。すべてを包括する腰痛治療のゴールデンスタンダードは存在しないのですが、だからこそ、腰痛の治療に関する情報はあまりのも多く、またいろいろな切り口で研究もされています。そんな腰痛のお話しです。
腰痛の疫学いろいろ
いきなり専門用語で恐縮ですが、日本疫学会によると、疫学(えきがく)とは「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」と定義されます。私たち医療職にとっては馴染み深い分野です。
腰痛は人類における共通かつ難解な問題です。腰痛を患う人は、どの1か月間をとっても人口の30%、どの1年間をとっても人口の38%が該当し、一生のうちに一度は腰痛になる人の割合は40%~80%にもなります。
多くの場合、腰痛はすぐ治るものでもなければ、重症な慢性痛に移行するものでも無いのですが、ある程度の痛いは時に悪化したり、軽減したりしながら、症状は長引くことになります。そして、腰痛になった人の2/3以上の人が、症状が治まっても1年以内に再発を経験するとも云われています。
さらに、重篤な疾患で起こる腰痛は全体の1%程度で、全体の8割が原因がはっきりしない非特異的腰痛と呼ばれるものです。この8割に該当する腰痛のうち、25%は生物心理社会的要因が関わっており重症化しているとも云われています。近年、このことが注目を集めていますね。
ちょっと長くなりましたが、とにかく腰痛を患っている人はとても多いということなんです。
腰痛を引き起こす原因は、一体何なのか
結論からいいますと、わかりません(笑)。もう少し丁寧にお話ししますと、いろいろな原因が考えられるのと、基本的には複数の要素が関わっていますので、一つに特定できません、ということですね。
前段の繰り返しになりますが、実は整形外科的に原因がはっきり特定出来るとされている腰痛は全体のおよそ20%程度とされていますが、これらは身体の部品の何かが壊れてしまった事による腰痛です(これを器質構造障害による腰痛と呼んだりします)。こういったものは、整形外科の先生にお願いする必要があります。
その他の8割に該当するものが非特異的腰痛です。これは原因がわからない腰痛ということになりますが、これらも詳細な検査により、ある研究では72%が診断可能だとしています。これらは整形外科学というよりも、徒手医学とか徒手療法と云われる分野の検査・評価方法により、かなりの精度で特定が可能です。
いろいろな原因があるわけです。
だから「腰痛の原因は何だって聞いてるの!」とお怒りの方へ
原因はともかく、どの構造から痛みが出るのか、という観点からいくつかご紹介してみます。 腰の筋肉から痛みがでる例はよく見られます。例えば会釈をする程度のお辞儀の姿勢を長くとっていると、腰が疲れます。これは筋痛ですね。筋筋膜性腰痛と呼ばれたりします。
背骨の筋肉以外の構造、靭帯などから痛みを出す場合もあります。丸椅子にでも座る際に、背中を丸くして力を抜いていると、背骨が曲がる方向に力が加わり続けます。草むしりを長時間していて、立つときに”いててて…”となる時は、だいたいこれに該当すると思います。
ぎっくり腰といわれるものは、背骨の関節である椎間関節(ついかんかんせつ)捻挫にあたります。関節を安定させるインナーマッスルと呼ばれる筋肉と、動くための大きな筋肉のはたらくタイミングがずれると、靭帯と同じ素材で作られている関節包(かんせつほう)という組織に引き延ばされるような力が急に加わって、激烈に痛みます。”魔女の一撃”はこれですね。 骨盤の関節、仙腸関節というところから発生する痛みもあります。これは骨盤に大きな力が加わったことが原因であったり、長年の身体の使われ方の傾向による筋活動の不均衡によりアライメントが変化することが原因であったりします。
腰痛の原因というのは、まだまだ他にもたくさんありますが、ここではとても書ききれません。原因というのは、本当に一人ひとり違っていて、さまざまなのです。
こうした症状、小さな症状、見えにくい症状を「身体の声」としてとらえ、それを丁寧に聴き、大きな問題に発展しないよう、あなたと一緒にコンディショニングして行きたいと考えています。
ぜひ、あなたの「身体の声」をお聴かせください。そして、使われてこそ美しい機能的な身体を手に入れましょう。相原忠洋リジュビネーションサロン鎌倉で、あなたをお待ちしております。